Tの拾遺

(テキスト作成は1997年)

第12話 イルカ島大爆発

脚本・松岡清治  絵コンテ・斧谷稔

063◆目から怪光線◆

ポリュペイモスの包囲の輪が縮まり、マグマ層が急速に励起される。海底火山の賦活によって、帯電した微粒子が稲妻を呼ぶ。「海のトリトン」中盤のターニング・ポイントには、ふさわしい大スペクタクルが用意されていた。

小規模な局地戦のうちにドリテアを失ったポセイドン族は、遂にその真価を発揮する。ポセイドン像の目は、怪しく光るだけではなかった。陸人の技術をも凌駕する超々長距離の破壊光線による狙い打ちが敢行される。
オリハルコンの力で空間を歪曲し、イルカ島まで不可視の回廊を確保して一挙にエネルギーを流し込む。横溢したわずかな損失分が、光の通り道として認識される。
アトランティス人を滅ぼし、植民都市ソドムとゴモラを焼いた光。ラーマがクンバカルナに止めを刺したインドラの矢の如き、恐るべき力の片鱗が発動されたのである。トリトンには、恐慌状態となったイルカ達を救う力もなく、包囲する怪物どもの一角を切り崩して、脱出路を作る以外なす術がなかった。