(テキスト作成は1997年) 第11話 対決!北太平洋脚本・宮田雪 絵コンテ・山吉康夫060◆声の罠にかかる事◆繰り返しになるが、何故ポリュペイモスが、ホラ貝と同じ声を使えたかといえば、ホラ貝自体がブービー・トラップだからである。トリトンが、飛んで火に入る夏の虫になってしまったのは、トリトンの精神状態と霧と疲労のためであろう。わずかなトリガーによつて、自分勝手で露骨な幻覚が消し難くなり、それは更に増幅あるいは逆転して立ち現れる。 このシークエンスは、話の展開を急ぐあまり、過程をすっ飛ばしてポリュペイモスの罠に落ちる。その結果、思わず「トリトン、何やっとんねん」と言いたくなるような状況となった。ここでのトリトンに共感するには、自らも実践してみる事である。例えば、ひとりで夜の暗い海浜に、長時間とどまる。または人家のない夏の山を一人で縦走する…。日常とは異なる部分が突出してくるだろう。 061◆ポセイドンの罰◆トリトンをかっさらったドリテアは、オリハルコンの短剣に敗れ、海底火山に投身自殺する。失敗は自らの死をもって償うのが掟らしい。スパイ映画、劇画等のハードボイルドな設定からの取材である。「空飛ぶゆうれい船」でも同様の設定があった。 062◆ドリテアの髪◆ドリテアのマカーブル・ヘアーは、肛腸動物の触手と同じ構造と思われる。そのまま振り回せば、まるで歌舞伎の「連獅子」である。 ところで、締め付けてから何をする予定だったのでょう。少々ツメが甘かったような気がします。 |