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デュエリスト・決闘者

リドリー・スコット監督の長編映画第一作「デュエリスト」

製作が、著作権の切れている原作の選定から始まっている事からも判る通り、いわゆる大作ではない。しかし、監督の映像感覚が直接反映されており、後年のハリウッド方式による作品とは一味違う。低予算という意味では「エイリアン」や「ブレードランナー」も同じではあるが…。

あらすじですが、時代はナポレオンI世統治下からルイ18世へと移行した19世紀初頭。ささいな事から始まった二人の軽騎兵中尉の決闘は、その後15年間も続く事になる…というものです。冒頭の戦いもそうですが、美しい景色の中で、痛い、痛そうな場面の連続です。暗い納屋の中での決闘も、剣同士の飛び散る火花がこれも美しいのに、痛い。剣の切れ味が鈍っているせいで、半端に切れた肩の肉がぶら下がって痛そう。最後まで光と影の効果が見事です。ラストシーンの複雑な撮影も凄い。

コスチュームものとしては、クーブリック監督には失礼だが「バリーリンドン」よりも好ましい。愚痴っぽくなりますが、淀川長治氏は何故R・スコット監督の初期作品については一度も著書のなかでふれていないのだろうか。淀川氏だけではないのですが…。否、映画評論家が書かなくても良い。この「デュエリスト・決闘者」は、間違いなくお薦めの一本です。

■追伸(03.3.24)
今般めでたく「デュエリスト・決闘者」がDVD発売の運びとなりました。