Tの周縁へ戻る

怪奇大作戦

かなり無理な話も含まれてはいたものの、基本的には人間の心の闇の怪奇さを描いていた円谷プロ「怪奇大作戦」。もし今、タイトルをつけ足すならば「牧史郎の奇妙な事件簿」とか「科学捜査官_SRI」でしょうか。地味で日常に溶け込んだ話ほど鮮明に記憶される、渋いドラマシリーズです。これの全作品集がLD-BOXで発売されるという時に、第24話「狂鬼人間」にクレームがつきました。まもなく、既存のビデオも姿を消しました。

すでに、変則的なスタイルで全26話を発売した後だったので、保存の問題はあるもののかなりの方は全話を確保していた事と思います。以前に「遊星より愛をこめて」が放送禁止になっていたので、またかい、と思ったものです。「遊星より〜」については、円谷プロ作品には珍しく人間型にいびつな変型を加える、という禁じ手を使っていたので百歩譲って納得しました。しかし、この「狂鬼人間」だけは譲るべきではなかったと考えます。よく鑑賞してから干渉してくれと声を大にしたい。

この24話は、犯人を予め人為的に発狂させておき、刑法39条が適用されるようにするというものです。その昔、初見の際あまりの不条理さに呆然としたものですが、ふと気がつくと日々の出来事にこれが氾濫しているではないか、と思いました。

未見の方にはネタばらしになって申し訳ありません。他にも「殺人回路」「死を呼ぶ電波」は、光アレルギーの人間なら有効かも…とか、「恐怖の電話」はケータイでも条件付きで可能だとか、骨董屋なら「呪いの壺」を見てどんな反応を示すか等々、興味はつきません。

この「怪奇大作戦」は、間違いなくお薦めの作品です。