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i古本屋

今ごろ、ネット古本屋開業のお話しである。
不況の影響もあって、新古書店を利用した古本屋がかなり立ち上がっているらしい。管理人も無職状態が長引いているので、2009年後半からネット古本屋の準備をボツボツ始めた。

【蔵書の確認】

準備というのは、兎に角にも現物の確認作業である。
記憶と現物のギャップが甚だしいのは、大量の廃棄・売却・寄贈でモノを処分してきたためである。某氏のように数万冊を自宅に保管できれば、概ね時系列通りの記憶になるだろう。管理人の場合、オーバーフローした分を除却する際に、思い入れも消去せざるを得ず、無い事を忘れようとしていたらしい。

個人の蔵書を基にした古書店は、かなり以前から存在し、かつては開店時にセドリの格好の的となった。
最近は、ネット上の情報を拾って探索するようになったらしいが、競争相手も増加し、新古書店の性質上おいそれと掘り出し物は出ない。これらは、感覚的には「セドラー」というより「担ぎ屋」に近いと思うが、そのような言い回しはしないのかナ?

田舎の事ゆえ、零本ではあるが一般書店での発掘なども稀にあった。数物・しょたれ本扱いの物が、諸般の事情でプレミア本になったものも(極少だが)有る。それらは取り敢えず「prix fou」「prix exorbite」。つまりお店の看板になってもらう予定である。買い手は…、まずつかないとは思うが、後の事は反応を見てから考えよう。その程度の内容ではある。

【ローカルなネットショップ】

古本の通信販売は大阪が起源(明治27年)であるらしい。とはいえ、目録による購入など、貧乏な管理人は利用した事がない。ほとんどは大阪日本橋の古本屋(既に無い)または、ご近所の古本屋(今は1軒のみ)や貸本屋を利用していた。

管理人の場合、所蔵しているものを概ね捌いてしまえば、ガッと閉店する予定である。この場合、古物商取締法には抵触しないので、申請は不要であった(地元の警察署に確認済み)。但し、儲け過ぎる(まず無いと思うが)と税務署の管轄には入ってしまう。また、長期に渡っての営業活動も同様である。何事もほどほどである。

古本売買は、再販価格逃れから始まり、買取り金額の明示・標準化で転回点を迎えた。が、定価の半額程度で通販するには仕入れを定価の5%〜10%に押さえるのは必至。新古書店の売れ残り群で仕入れなければ合わない。即ち、新古書店と同じ土俵では話にならず、売値は旧古書店並みというムシの良い状況が必要になる。
一定の付加価値が必要であり、ベストセラーの類いは商品として成立し難い。

遅まきながら、管理人も零本・数物以外は新古書店に出すのをやめて、ネット古本屋という除却手段を選ぶ事にした。今後もお仲間は増えていくであろう。
このような個人単位でのネット販売への参加は、地方税に多少なりとも貢献するのかもしれない。クラウドならぬ浮浪雲のようなショップシステムもあるし、商品の性質上、常に数割の利鞘とは行くまい。一億総テキ屋(=流通の中抜き?)に乗っかってみようと思っている。

【本以外のモノ】

古本屋とはいえ、紙類一切(地図、カード、ポスター等)+古い玩具も予定している。数量上は全体の5%にも満たないとは思う。フリップブックの類いもあり、展示物に変化をつけるには好都合だが、どう掲載するか頭を悩ませる下手物もチラホラ待機している。正確にはやはり古物屋くさい。

あとは、CD、LD、レコード、カセットやビデオにセル画、アパレル小物という所か。需要があるのか否かを見極めるだけでも興味深い。値段の設定が困難な場合は、オークションの利用もありえるが、モノと売買システムがミスマッチに思える場合も散見される。

【図書館の位置づけ】

ところで、図書館ってなんだ。
一時は無料貸本屋などと揶揄されていた。最近では「大阪府立国際児童文学館」が廃止された際、橋本府知事の言いがかりのような理由が、地元の図書館館長の言動と酷似していたのが気になっている。
決してマンガ喫茶などではなかったし、独自の収蔵品もあった。結局、スケープゴートにされたのであろう。以前なら開架で閲覧できた資料も、現在は事前申込みが必要になっている(閲覧室がすごく手狭になったのだ)。

自分の蔵書を泣く泣く間引く際に、図書館にあるか否かも重要な判断要素になっている。地元の図書館には、それゆえ定期的に寄贈もしているのだが、受け入れる側の「人的要素」に大きく左右されるため、躊躇する事も多い。司書の問題ではなく、上位の管理職の問題なのだ。東京都立図書館の事例もある。

某のように書物の神髄を会得できようはずもないが、この地に住む限り、少なくともサブカルは何処までもゴミ扱いなのだ。コンテンツ産業振興などとヨイショされても、勘違いしないよう肝に銘じておこう。そして、図書館は文化の集積地ではなく、遷ろう政治の小道具に過ぎず、サブカルは嗜好する個人へと還っていくべきもの(だろう)。狭いカテゴリに限定して、今ごろ政策を検討しているようでは、早晩おちぶれるだけなのは自明だ。

【おまけの予定】

ネット古本屋と並行して、小冊子の定期刊行を予定している。おまけレベルで同封できれば良いなと考えている。ファンジンや個人誌の製作から遠のいている事もあり、現在のインフラで可能な事を探ってみたい。電子書籍のマネ事は当サイト内でも既にPDF版で実施済みだ。今回のモノの発行形態は、まだまだ検討中で先行きは限界未定である。

※ipadはもう少し、なんとかならんのだろうか。厚いし、重いし、形がホニャララ過ぎる。更に技術的なブレークスルーが必要か。

 

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