Tの周縁へ戻る

タオルデザイン「捺染」

【捺染(Textile Printing)】

布地の商品価値を高めるために捺染(プリント)技術が開発され、文字や絵柄が織物などに印捺された。これらは、捺染様式と使用機器(手捺染、機械捺染)によって分類される。
オリジナルタオルやイベントタオルは、これらの技術を利用した製品である。
※タオルの製造プロセスから見れば、捺染作業は「後晒し」タオル向きだが、シャーリングタオル自体は元々「先晒し」の方が作り易い。

どのような捺染方法を用いるかは、条件が多岐に渡るため割愛します。理想的なイメージを固めると、実現するための予算が見えてきますし。
また、販売用ならば仕入値に5割ぐらいの粗利を乗せないと経費を賄えない。適正価格から利益差引き後の金額で調達可能な製品を探して下さい。下には下(印刷タオル?)、上には上(インクジェット?ジャカプリ?)、その間にはたくさん組合せがありますので。

【前処理】

繊維に含まれている成分はもとより、織るために使用された糊類や付着した汚れは除去しておく必要がある。
前処理は使用する布によって異なり、布の重さの20〜30倍の熱湯に20〜30分湯通しするだけで充分なものや、糊分が多い場合は糊抜き剤と非イオン界面活性剤を湯に加える。精練は専門の業者に依頼しないとできない場合もある。また、捺染方法によっては地入れ(薄めた豆汁等を引く)も行なう。

【工程・様式・機器】

準備作業として、プリントのデザイン(=型版の製作)と、プリント生地の調製が必要。
型版は捺染様式により、凸版・平版・孔版(ステンシル)を用意する。生地の方は企画の内容と予算次第でしょう。

次に、印捺工程でロールやフラットスクリーン・型紙などを使い、生地に型を置く。
捺染様式は、直接捺染・抜染・防染・型づけ浸染などがあります。
使用機器は、職人の手による型紙捺染を始め、スクリーンやブロック(凸版)があります。製作数が少ない(1枚、2枚…)ならば手描き・臈纈・板締め・絞り染めもありでしょう、クラフト作家の世界ですが。
機械捺染は、ローラー(彫刻や円筒状スクリーンによる)または枠張りしたスクリーンを使い、位置を検出して自動的に型を置いていきます。

印捺後の固着は、染料と顔料で異なる。
染料捺染の場合、高温で蒸した後に糊や未染着染料を除去し、乾燥・仕上げが行われる。
顔料の場合も十分な乾熱処理が必要である。

顔料樹脂法(表面加飾)は、稀にホルムアルデヒトを遊離する場合がある(乳幼児用:16ppm以下、子供・大人用:75ppm以下)。

【生地について】

タオルの大きさや大きさごとの名称は、各社とも概ね同じ大きさの製品群と、差別化のための独自製品群が混在している。実際に流通しているもので言うと以下の通り。

その他に丸型とか、自由に切ってもほつれてこない素材を使っているものとか、とかとか。
製造プロセスの都合で、幅の制限は厳密ですが(数量さえ有れば)長さは調整が可能です。
具体例として、2007年の月刊少年エース・付録「レイ&アスカ・スポーツタオル」「Wセイバー萌え萌えタオル」をあげておきます。これらは「おしぼりタオル」の幅で、長さを延伸したシャーリングタオルを使用しています(3色、顔料・中ベタプリント)。
※「聖痕のクェイサー」も同じ条件なので追加。
マフラータオルにも幅29cmで長さが140cmというのもあります。これは機能上の都合で生地が薄くなっており、一概にサイズを固定化できない背景も各社様々です。

コストがかさむため通常は行ないませんが、でかいプリント製品の耳・ヘムを裁ち落としてロックミシンを掛けているものもあります(オタ向けのマイクロファイバー・バスタオル)。当然、タオルサイズは変ってしまいます。
これは、ミニハンカチで一般的に行なっている方法の応用です。つまり、生地や加工費に糸目をつけなければ、裁切りデザインは可能です(お薦めはしません)。
※ミニハンカチ(ハンドタオルと呼称)として、「夏目友人帳」「日常」「たまごっち!」のオタおるが出来。参考には適当かも。

余談ですが、「バンブーブレード」の日本手拭いについて一言。
日本手拭いはスクリーン捺染(例:「テルマエ・ロマエ」「高杉さん家のおべんとう」)と注染(本染め)で絵柄を置いており、概ねプリントの場合は生地に「岡」、本染めの場合は「文」を使用する。「バンブー…」手拭いは1色プリント・機械捺染だが文生地を使っている上に、端のほつれを嫌って縫製を行なっている。これは粋ではないと思う。
全面プリントの製品として「小田部羊一キャラ」手拭い(2色)「高野文子」手拭い(1色)をあげておきます。

※P.S.(2010.09.14)「けいおん!・おいかけっこ・てぬぐい」が最終回前号の付録になった。製品へのコメントはリンク先を見てちょ。

※P.S.(2013年)「百姓貴族」特製手ぬぐい、雑誌の付録。

【無版方式】

型を持たない無版方式の代表的な製品として、転写プリントとインクジェット捺染があります。 スクリーン捺染では不可能な、フルカラー対応が魅力ですが予算と相談して下さい。
以下は、タオルという素材を前提にしていますが、景品やオタ向けで増加中のマイクロファイバー製品ならば、素材がポリエステルなので、転写には非常に好都合です。

転写プリント
転写紙・転写機材・プリント素材等を一括して扱う会社もあり、比較的手軽に少量でも製作可能(というより少量向け?)です。使用する生地は、ポリエステルの平織りを混織したタイプと、シャーリングタオルがあります。
転写用のシャーリングタオル(ハンド、フェイス、バス)は、極限までパイルを刈り込んでいます。技術的には、タオルよりも天竺を使っているTシャツのような製品向けでしょう。
平面支持体を固着するタイプでは、プリンター+プロッターの組合せで、更に美麗な表現も可能です。負荷が掛かると次第に割れてくるのは避けられないでしょうが、自由度の高さは魅力です。転写素材は他に、トレーナー・パーカー・エプロン・帽子・バッグ・サンシェード等々、非常に多岐に渡っています。

インクジェット捺染;
転写プリント可能なシャーリングタオルを使えば、インクジェット捺染でも使用に耐えるものが仕上ってくるというのは、概ね予想できるでしょう。2001年に京都・某染織工場が立ち上げて以来、各タオル産地でも生産が始まり、総枚数は年々順調に増えているようです。プリンタの方も群雄割拠な状況で、着実に進歩しています。

頁の上部へ移動