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織りについて

【糸】

長繊維(フィラメント)を用いた糸をフィラメント糸、短繊維(ステープル)を用いた糸をスパン糸あるいは紡績糸と呼ぶ。
紡績して紡ぎ出された1本の糸を単糸、2本撚ると双糸、3本撚ると三子糸と呼んでいる。

糸の撚りの強さは質感への影響が顕著である。一般的なタオルやガーゼ布は弱撚糸(甘撚り)を使用するが、柔らかさを求めて「無撚糸タオル」が開発されている。

撚りの方向はS撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)がある。一般的にスパン糸の単糸はZ撚り、双糸はS撚りである。
双糸の撚り方向を、単糸と逆にした撚りを順撚りと呼び、多くは順撚りである。

コーマ糸は、短過ぎる繊維や絡み合っている繊維・夾雑物などを取り除いた、毛羽の少ない整った単糸である。これを使用する「コーマタオル」は、滑らかで光沢のある丈夫な製品となる。

綿繊維は本来的に中空構造(ルーメン)であるが、水溶性ビニロン等を用いて構造を保持する事で、嵩高で軽量感のある「中空糸タオル」が製作されている。

【タオルの組織】

織物組織は、三原組織(平織り、斜文織り、朱子織り)を始め数多い。手織りを含めるとヴァリエーションは無限といっても過言ではない。
タオル組織はパイル組織のカテゴリに含まれているが、実際は複数の組織の組合せによって成立している。更に新しい質感や織り柄を期して、縦及び横パイル組織(畦付きタオル)を筆頭に、梨地織り(虫喰いタオル)・蜂巣織り(ワッフルタオル)、袋織り(やわらかタオル等)を用いた製品などが製作されている。
ジャカード織りは紋組織(紋織り)であり、型となる紋紙は1完全組織の枚数が必要なため数百〜数万枚となる。

【ジャカード織りタオル】

2色以上の糸を使用する「毛違いジャカード」と、1色のみによる「上げ落ちジャカード」があります。どちらもシングルジャカードです(ガーゼタオルは殆どがダブル)。一般的にタオルの場合、ダブルジャカードにすると面白味?が無くなるのか、さほど数は多くないようです。

毛違いジャカード
製造プロセスの特徴は糸の先染めとなる事です。織る模様の緯糸1完全組織分の紋型紙(または紋データ)を用意します。無の状態から糸を使って紋と地色を織っていくため、完成時は各々の色糸の影響が出ます(表側になる色の印象を優先できるが、地色は一方の色糸となる)。4色の毛違いジャカード織りも見かけますが、色同士の影響を検討しないと汚い印象を与えます。

上げ落ちジャカード:
1色で紋が織られ、エンボス加工のような印象となります。この状態にプリントを施すジャカプリは、色表現の制限から脱するための1手段です(ドビー+ジャカードもあります)。

【ドビー織り】

経糸の開口運動(綜絖の上下)を制御するドビー(Dobby)装置を付設した織機で、小柄で幾何学的な模様を織ったもの。
産業総合研究所では、ドビー装置による複雑な紋織りを可能にする方法を開発、公開している。

【織機】

シャトルを使用する有杼(ゆうひ)織機の歴史は1世紀を越えるが、技術的な限界から無杼織機の開発が行われた。

・レピア式:棒状または帯状のレピア(Rapier)で緯糸を挿入しながら織る方式。
・グリッパー式;グリッパープロジェクタイルというシャトル状の把持具が、一方方向にヨコ入れする方式。
・ジェット式:空気や水の噴射力で緯糸を入れる方式。

【耳】

織物の幅両端に渡って5mm程の丈夫な部分を織物の「耳」と呼び、生地の補強と外観を整えている。

【織物の名称】

織物の名称の起源を列記。他、多数あり。
・金巾(かなきん、shirting):ポルトガル語。平織りの綿布。
・ガーゼ(gauze):地名(Gaza)。織り目の粗い平織り綿布。
・ローン(Lawn):地名(仏Laon)を起源とする高級薄地の亜麻織物。綿のローンはシルキーな感触があり、ハンカチなどに用いられる。
・上布:上質の麻布の意。

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