「復活はしたが、しかし…」昨年2001年から「復活」と称して、「少年ドラマ_アンソロジー」が発売されました。但し視聴者が保存していたものを使って…。公共放送とは思えんな、これはっ!ということで「NHK少年ドラマシリーズ」の話です。 このシリーズがSF作品のみとはいえ、記録リストという形で出版メディアに姿を現したのは、月刊OUT増刊ランデブーが最初だったと記憶しています。管理人も記録をつけていましたが「寒い朝(1978年)」で終わっていて、この雑誌の発行時期と一致します。このあとに放映された「七瀬ふたたび」や「家族天気図」「星の牧場」等にはシリーズの続きという感覚が、実は全くありません。間隔が開きすぎたんですね、多分。全貌を知ったのはその後に発行された特集・単行本によってです。シリーズの放映リストは、既にあちこちでUPされているので、ここでは割愛いたします。 時は流れて1981年、大林宣彦監督が学園SF「ねらわれた学園」を、続いて1982年には少年ドラマと縁の深い山中恒氏の原作で「転校生」を製作されました。更に1983年、今度は筒井康隆氏の「時をかける少女」を原作題名のままで映画化してしまった。これらの方が、少年ドラマらしく感じられるという、私的に奇っ怪な状況となっていました。自分には1972年〜1975年の気分が既に失われており、少年ドラマとは何んだったのか判らなくなっていました。 ここまできて、漸く自分にとっての少年ドラマシリーズというものは、制作NHKでも学園ものでもなかった事を理解しました。単に好ましい作品がキラ星の如く連なっていたという事。シリーズではなく各々の点でした。そして少年ドラマ的というのは、物語の主体が明確に児童・学生側にあり神の視点が介在しない事、低予算を工夫とセンスでカバーしようとする努力、それと物語にドキドキする事ではないかと思います。このドキドキ感の中身は個人差の部分です。具体的に例をあげるなら「ズッコケ三人組」よりも「ぼくらは海へ」(共に那須正幹・著)の方が強い事はたしかです。飽くまで個人的な見解です。 たしかに少年ドラマシリーズは復活しましたが、総放映作品数99作の1割未満が視聴または聴のみ可能になっただけです。再現不可能作品の中にある(個人にとっての)キラ星は、逆に永遠に幻となってしまったとも言えるのです。また、少年ドラマシリーズ以前の作品もどうなってしまったのやら。 ■追伸(03.3.24) ■追伸(03.10.28) 「当時のビデオ事情を見れば」それにしても、よく1970年代前半にビデオ装置を少年ドラマ録画に使用できたものだと思います。1960年代末でさえ世界中の電機メーカーが独自規格を立て混沌としていたようです。少年ドラマの始まった1972年と言えば、あのUマチックを始めUビジョン、U−VTRが登場したばかりでした。世帯普及率は0%。すべてが何らかの業務用です。
この価格は1974年当時のものですから換算しないと、現在とは比較できません。独自に国鉄JR運賃で換算すると約4倍になりますから、ビデオだけで160万円相当というところでしょうか。ほとんどオタクのロマンと言えます。 映像記録で忘れてはならないのが、8ミリフィルムです。ビデオがこのような状況ですから、たとえ10〜20分の編集版映画でも旺盛な需要がありました。小型映画と呼ばれた市場がまだまだ健在でした。ただ、映画丸一本分となると高価な事に変わりありません。そして、1980年に入るとビデオソフトの大波に呑まれて8ミリ映画市場は消滅してしまい、生8ミリフィルムすら入手が次第に困難となっていきます。 明けて1975年、ソニーから1/2インチテープでカセットの縦横が文庫本サイズのベータマックスが発売されました。ついにビデオは20万円前後まで価格が下がってきました。1976年、ビクターはそれより大きいVHSを発売しました。ベータ対VHS戦争の始まりです。松下はカセットではなくカートリッジ方式だったため、1977年にVHSへと参加します。この時すでにコピーガードの問題が出ていましたが、ハードの普及優先だったのか、信号干渉の問題からか実施されたのはごく一部のソフトだけです。 怒濤のように1978年へ進み、世帯普及率も1%を突破。参考までに、管理人がビデオを購入した1979年には3%だったと記憶しています。少年ドラマも「トリトン」再放送も「未来少年コナン」も間に合わなかったんですが、「ガンダム」には間に合いました。しかし、ビデオソフトはまだまだ高価で「ルパン三世カリオストロの城」が90分の編集版で約4万円でした。発売後まもなく半額になりましたが、それでも高い。 このあとの展開は「プロジェクトX」でも見て下さい。但し、協会推薦規格の話や基本技術の部分等をぶっ飛ばしているので公平な内容とは言い難いです。この番組で可哀想なのは、実は一言も触れてもらえなかった松下の技術者かもしれない。技術って積み重ねですから、あんなに単純ではないです。最低でも2時間以上のドラマが書けます。あの話が最終章に来るのは一緒ですけど。 ビデオと並行して映像ディスク商品化も進行しており、今度はVHDとレーザーディスクの対決になります。この経緯も興味をそそるものがあり、まもなく期限切れになるパイオニアの特許も絡んでダイナミックなのですが、きりがないので割愛いたします。 「そして、旅に出る」少年ドラマが始まると、今度はクレジットされる原作を探索する羽目に陥る。つまり、NHK制作部の思惑にまんまと嵌ってしまった。 で、難儀の甲斐があって目ぼしいものは大体揃いました。少ドラ原作マニアではないので必要だった一部分だけです。そして「宝島」のごとく、冒頭に記載されている地図を頼りに「つぶやき岩の秘密」の舞台へ出掛けたのは既に1980年でした。 次は少年ドラマではなく、映画「時をかける少女」のロケ地旅行です。こちらは写真が残っているので列記しています。ここは、たくさんの方が「尾道三部作、行脚」されているので、サクっと紹介しときます。
旅はいい。箱庭的な風景や映画が嫌いな方には、嫌悪を催すだけでしょうが。 「音源の話」所有している少年ドラマの音源は微々たるものです。
これだけです。データは重いし、諸々の処理が面倒なので音声ファイルを揚げる予定はありません。 ひとまず、こんなもんでしょう。それとDVDに未収録の「海のトリトン」第10話予告も音声だけならあります。 |