かなり鈍い話ですが、製作スタッフという人々を意識するようになったのは、やはり「海のトリトン」以降です。人間が、絵を描いて塗って撮影・編集しているんだという、当たり前の事が想像できるようになったのは。
その後は、面白かった作品のスタッフロールに、繰り返し出てくる名前を各々追っかける事になるわけです。宮崎駿監督の現場での写真を初めて見たのは、「未来少年コナン」のストックを準備されている時のものです。その後、一本作るごとに白髪が猛烈な勢いで増えているのに気づきました。常人には真似のできない広範囲の作業をカバーするというのは、こういう事かと変に納得して見ました。
今般、「千と千尋の神隠し」公開に先立って、品切れだった出版物も大挙して復刻されました。従って、作品資料といっても復刻の圏外だったものが中心で、内容も管理人個人のメモ程度と御了解下さい。
<ファンジン>
- 未来少年コナン特集号・改訂版(1978)…発行:グループCAS[内容:キャラクター設定表、ストロボ効果風の動画、感想他]
- 未来少年コナン特集号PART2(1979)…グループCAS?[内容:メカニック設定表、大塚・宮崎両氏にインタビュー、動画、絵コンテ、感想集他]
- 未来少年コナン研究誌・太陽塔(1978)…発行:太陽塔編集室[内容:宮崎氏にインタビュー、全話解説、作品解題、マンガ未来少年ハナン他]
- HERO No5・特集ルパン三世(1980)…発行:HERO編集室[内容:旧ルパン三世及びカリオストロの城に関する考察、第一稿と完成作品の比較、シナリオ収録他]
- 漫画の手帖No10〜14(1982)…発行:漫画の手帖事務局[内容:宮崎氏にインタビュー]
- 大塚康生さんと語るVersion2(1996)…発行:高畑・宮崎作品研究所[内容:大塚氏へのインタビューをメインに、関係者への取材、参画作品の資料編纂等、盛り沢山。]
- 大塚康生のおもちゃ箱(1996)…発行:自費出版[内容:大塚氏の自費出版物。断片的に漏れ聞こえていた様々な落書きやイメージボードが一堂に会したもの。作品に関するものも含むが、よりプライベートな側面を紹介している。蛇足だが、折込みの感想記入用紙に、無関係と思える会社名が1997年1月付で入っており、未だに判然としない。]
- その他某同人誌に、原画・河内日出夫氏による水着のラナ掲載。
<アニドウ編纂>
- FILM1/24別冊・未来少年コナン(1979)…発行:アニドウ[内容:スタッフ・声優への大インタビュー、イメージボード、五大付録(感想集、太陽塔1/24未来少年ハナン完全版、なかなか上がらない双六、ラナとモンスリーの着せ替えぬり絵)他]
- FILM1/24 No13,14(1977)…発行:アニドウ[内容:特集・母をたずねて三千里]
- ふくやまジックブック・福山慶子画集(1981)…発行:アニドウ[内容:イラスト感想文、未来中年レプカ・不完全版他]
- FILM1/24 No22(1978)…発行:アニドウ[内容:放映直前の「未来少年コナン」製作紹介]※アニドウ全国大会に、現在廃虚になっている摩耶観光ホテルを使用。建物がまだ生きている時のスナップが入っている。
- FILM1/24 No27&28,29(1979,1980)…発行:アニドウ[内容:小特集・太陽の王子準備キャラクター(大塚康生・解説)ホルス、グルンワルド、]
- FILM1/24 No30,31(1980,1981)…発行:アニドウ[内容:「ルパン三世・カリオストロの城」のイメージ・ボードを、破格にもフルカラーで紹介。同作の評や感想も有り。]※No31には宮崎氏の「ファンタスティック・プラネット」に対する短評あり。
<各出版社特集本>
- 愛蔵版・未来少年コナン(1979)…発行:日本アニメーション[内容:本編スナップ、宮崎氏にインタビュー(太陽塔よりの転載)、イメージボード、書き下ろしイラスト他]
- アニメディア特別編集_未来少年コナン愛蔵版(2004)…発行:学習研究社[内容:本編スナップ、絵コンテ、イメージボード、他]※復刊おめでとうございます。たしか、従前の各社特集本の集成的なものだったと記憶してます。これは買わなかったから、よー判らんです。
- ファンタスティックコレクションNo15 未来少年コナン(1979)…発行:朝日ソノラマ[内容:本編スナップ、メカ解説、用語事典他]
- ファンタスティックコレクション 母をたずねて三千里(?)…発行:朝日ソノラマ[内容:本編スナップ、イメージボード他]
- NEWTYPE Illustrated COLLECTION 母をたずねて三千里(1992)…発行:角川書店[内容:本編スナップ、レイアウト他]※朝日ソノラマ版も同様であるが、イメージボードをカラーで掲載したいなァ、と担当者は思わなかったのだろうか?
- RAPPORT DELUXE_3未来少年コナン大事典(1981)…発行:ラポート(株)[内容:本編スナップ、用語事典、レイアウト、動画、コンテ他]
- RAPPORT DELUXE_5ルパン三世・カリオストロの城大事典(1982)…発行:ラポート(株)[内容:大塚・宮崎両氏にインタビュー、本編スナップ、用語事典、島本須美ソノシート他]
- ルパン三世カリオストロの城・絵コンテ集(1984)…発行:双葉社[内容:同社フィルムブックのカバー絵、絵コンテ全編]※最初の笑えるほど悲惨なフィルムブックから出発し、絵コンテ全編という形態に軟着陸した。
- ベスト・カップリング・コレクション_宮崎駿・大塚康生の世界(1982)…発行:オフィスアクション[内容:各種製作資料及びスナップ(カリオストロの城、ルパン三世(TV)、太陽の王子ホルスの大冒険、長靴をはいた猫、パンダコパンダ)、オリジナル絵物語他]
- 宮崎駿イメージボード集(1983)…発行:講談社[内容:全編カラーのイメージボード及び絵物語]
- ロマンアルバム・アルプスの少女ハイジ…発行:徳間書店[内容:本編スナップ、レイアウト他]
- 100てんランド・アニメコレクション_ルパン三世・カリオストロの城(1981)…発行:双葉社[内容:大塚・宮崎両氏にインタビュー、本編スナップ、美術他]
- 100てんランド・アニメコレクション_ルパン三世PART1,2(1982)…発行:双葉社[内容:本編スナップ、各種設定資料、メカ解説、書き下ろしポスター他]
- THIS IS ANIMATION 1〜3(1982)…発行:小学館[内容:1982年までに製作されたアニメ作品のスタッフ・放映内容等を総括的網羅的にまとめたもの、森康二・大塚康生・宮崎駿・三氏による解説掲載]
- その他、「講座アニメーション3・イメージの設計」のシナリオの項、「ユリイカ」の特集号、「日本映画の現在」(岩波書店)、東映動画作品紹介として「別冊太陽・昭和日本映画史」、いわゆる絵本の類い、等々ホントにたくさん有ります。「出発点1979〜1996」は、表題の期間に書かれた記事や評論・講演・インタビュー等で構成されており重宝だが、初出掲載時の挿絵が全て割愛されている。紙数節約と思われるが、これほど徹底して消去する意図がよく判らない。「風の帰る場所」は「CUT」「SIGHT」各誌のインタビューで構成されている。
<文庫本>
<雑誌>
- 月刊絵本別冊アニメーション…発行:すばる書房
月刊アニメーション…発行:ブロンズ社
※1978年〜1980年まで発行。宮崎駿氏の「発想からフィルムまで」を含むエッセイ、「カリオストロの城」大藤賞受賞の舞台裏、「ハイジ」の映画化に対する抗議と「三千里」映画化の顛末、「赤毛のアン」の製作準備、「みんなのうた特集」等が掲載された。
- 月刊アニメージュ…発行:徳間書店
※「図録 宮崎駿・漫画映画の系譜1963ー2001 (スタジオジブリ編)」に主な記事を採録。
- 月刊OUT…発行:みのり書房
※「ラナちゃん_いっぱい泣いちゃう」吾妻ひでお・作(「海から来た機械」にも所収)、他。
- 月刊「モデルグラフィックス」…発行:大日本絵画
月刊「スターログ」…発行:ツルモトルーム
※マクセル・電通によるCF製作記事。第一弾が飛行船とビデオテープ、続いてポシェット竜(+工藤夕貴)とパソコンH2。
- その他、「ランデブー」「アニメック」「キネマ旬報」「月刊moe」「ジ・アニメ」「マイアニメ」「アニメ_V」「バラエティ」「NewType」「cut」「SIGHT」等、多数。
<未加工資料集>
最後の欄には、対談集本、製作された作品の原作本や様々な事物(軍事、経済、被服、道具、建築、地誌等)の資料、更に児童文学や小説、古今の映画・絵画が、宮崎監督の作品を補足するために、列記且つ詳説されるべきだろうとは思いますが、非力な管理人は「海のトリトン」だけで手一杯です。木を見て森を見ずの譬えもあるので、今のところは唯々作品を楽しませていただきます。
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